時をこえて、またキミに恋をする。
そこには、わたしを助け出してくれたときのヒーローのような面影はまったく感じられなくて、思わずクスッと笑ってしまった。


そういえば、あの火事で薄れていく意識の中で思ったことがあった。


取り残されたわたしを宗治が助けにきてくれたとき――。


『…びぃ!びぃっ!』

『…姫!姫っ!』


あの夢と…重なった。


あの夢は、わたしの前世の記憶。

つまり、都子姫が目にしたものだ。


あのとき、宗治は命をかけて都子姫のことを守った。

そして、そのあと宗治は亡くなった。


もしかしたら、今回だって同じ結末になっていたかもしれない。

この世で宗治が死んでしまったら、もう二度と蘇ることなんてできない。


そうなってしまったら、都子姫に再び会うこともできなくなってしまうのに――。



次の日の夜。
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