時をこえて、またキミに恋をする。
「宗治はバカだよ」


月明かりに照らされた御神木の桜の木を見つめながら、縁側に座っている宗治に後ろから声をかけた。


「だれがバカだって?」

「だから、宗治がだよ」


宗治が死んじゃったら、なんのためにタイムスリップしてきたかわからないんだから。


すると宗治は、隣に座ったわたしに目を向けて鼻で笑う。


「なに言ってんだよ。お前だってバカだろ。火事の現場に突っ込むなんて、丸焼きにされたかったのかよ?」


その減らず口に、思わずわたしの目尻がピクリと動く。


「宗治、あんたねー…。もう少し、わたしに――」

「ありがとう」


ふと聞こえた…そんな言葉。


空耳かと思って、一瞬時間が止まったかのようにフリーズしてしまった。


「宗治…、今…なんて?」

「聞こえなかったのかよ…。桜華を守ってくれて、『ありがとう』って言ってんだよ。何度も言わせるな」
< 160 / 279 >

この作品をシェア

pagetop