時をこえて、またキミに恋をする。
「火事だって言ってるぞ!」


…火事だと?

どこに火の手があるっていうんだよ。


「おい。さっきから上で女の声が――」

「…宗治なに言ってんだよ!だから、火災警報器のアナウンスがスピーカーから聞こえてるんだって!」

「…“カサイケイホウキ”?」

「とにかく、逃げるんだよ!」


どうやら、その『カサイケイホウキ』とやらは、いち早く火事を知らせるものなんだとか。


自分の目で確かめたわけではなく、まだどこが燃えているかもわかっていないため半信半疑ではあった。

しかし、周りのただならぬ空気から緊迫した状況だということはわかる。


「みんな!早く外へ!!」


ドアの外からは、先生たちの声が聞こえた。


そして、部屋から出てわかった。

焦げる臭いが漂ってきていることに。


俺が死ぬ原因となったのも火事だった。
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