時をこえて、またキミに恋をする。
都子姫を助け出せたのだから後悔はしていないが、煙の臭いを嗅いだら嫌でもあのときの記憶が蘇る。


「宗治、なにぼうっとしてんだよ!逃げるぞ!」

「あ…、ああっ」


押し寄せる人の波にのって、宿の外へ飛び出した。


誘導してくれていた先生たちも避難し、外でクラスごとに点呼を取ると、どうやらみんな無事のようだった。

生徒と生徒の隙間から、びぃの姿も確認できた。


調理場からの出火のようだが、神代中学の生徒や先生も含め、他の客や従業員も全員無事とのこと。


すると闇夜から、甲高い音が聞こえてきた。

この音は、『消防車』という消火活動を行う赤い車の『サイレン』というものらしい。


俺の時代では、消火活動は桶に水をくんで運ぶ手作業だった。

しかし、こっちでは消防車から勢いよく水が出てくるのだとか。
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