時をこえて、またキミに恋をする。
「ダメだよ!宗治くんまで…!」

「戻りなさいっ!!春日井くん!」


菅さんや先生が止めようとする声も聞かずに、俺は黒い煙が上がる宿に向かって走っていった。


風向きで火の勢いが強くなった。

消防隊員なんて待ってられない。


…あのバカ、なにしてんだよっ。

頼むから、無事でいてくれ…!


中へ入ると、さっき避難したときとは状況がまったく違った。

黒い煙が漂い、息をするとむせ返る。


びぃがいるとするなら、自分の部屋に違いない。

迷うことなく、びぃがいた女子部屋へと向かう。


ところが、そこで目にした光景に、俺は一瞬息をするのも忘れてしまった。


なんとそこには、煙の中でうつ伏せで倒れるびぃの姿があった…!


死んでんじゃねぇぞ、…バカ!


すぐさま駆け寄り、びぃの体を抱き起こす。
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