時をこえて、またキミに恋をする。
なにがあって燃える宿に戻ったかは知らねぇが、一歩間違ったら――。

と、怒り心頭中でアホなびぃの顔しか見えていなかったが、ふとびぃが胸に抱きかかえているものが目に入った。


一体なにをそんな大事そうに…。


そう思って目を向けると、なんとそれは…俺が預けた桜華だった。


「…まさか。これを取りにわざわざ…?」

「だってこれ…。宗治の命よりも大切なものなんでしょ…?」


ドクンと俺の心臓が鳴る。


たしかにこれは、俺の命よりも大切な桜華。

だけど、びぃにとってはただの刀でしかないだろ…?


なのに、どうしてこんなになってまで――。


…まさかっ。


『言っておくが、くれぐれも桜華だけは――』

『もう、わかってるって!安心して。責任持ってわたしが預かるから』


俺があんなことを言ったから…?
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