時をこえて、またキミに恋をする。
この件に関しては、自然と素直な言葉が出てきた。


「宗治…、今…なんて?」

「聞こえなかったのかよ…。桜華を守ってくれて、『ありがとう』って言ってんだよ。何度も言わせるな」


なんだか頬が熱くなってきて、俺はびぃから顔を背けた。


…ったく、本当は聞こえてたくせに。


そもそも、びぃの女子部屋にまで火がまわる前に火事は消し止められた。

だから、結果的にはなにもしなくたって桜華は無事だったことだろう。


――でも。


「あのとき…、本当に肝が冷えた」


思い出すだけで未だに冷や汗がにじむ。


「…そうだよね。桜華がまだ火の中に残されたままだと知ったら――」

「そこじゃねぇよ」

「…え?」


キョトンとしたびぃの顔。


まったくもって意味がわかっていなさそうなまぬけ面だ。
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