時をこえて、またキミに恋をする。
……え?


わたしはキョトンとして、古関先輩と宗治の顔を交互に見つめる。


「オレは結局、春日井くんにはなにも勝てなかったってことか」


そう言って、古関先輩は切ない表情を浮かべながら笑った。


「春日井くんと本気で剣道の勝負をしたって、オレは負けることだろう。だから、せめて好きな人への気持ちでは勝ちたかったんだけど…」


『好きな人への気持ち』って、…どういうこと?

それじゃあ、まるで宗治がわたしのことを好きなみたいな言い方。


「…先輩。お気持ちはうれしいんですけど…、わたし…その…、先輩の気持ちには…」


わたしは、古関先輩からのプレゼントをそっと前に差し出した。


申し訳ない気持ちでいっぱいで、先輩をきっぱり断ることもできない。

それに、宗治がそばにいるこんなところで「わたしには好きな人がいるから」とも言うこともできない。
< 210 / 279 >

この作品をシェア

pagetop