時をこえて、またキミに恋をする。
その場に残された、わたしと宗治。

無言のまま顔を見合わせる。


「とりあえず…、俺たちも帰るか」

「う…、うん」


わたしたちは並んで歩いた。

しかし、隣同士のわたしたちの間には不自然な距離があく。


ようやく、修学旅行後からの微妙な空気がなくなってきたというのに、さっきの古関先輩の告白以降また気まずくなってしまった。


『姫はだれにも渡さない』

『こいつは俺のものだっ』


そもそも、さっきのあれば…なに?

…どういうこと?


聞きたいことはたくさんあるのに、なにから話したらいいのかがわからない。


無言のまま歩いていると、ふと宗治と手が触れた。


「「あっ…、ご…ごめん…」」


同時に同じ言葉が出る。


そして、ようやく宗治と目が合った。

だけど、なぜか恥ずかしくなったわたしは慌てて宗治から目をそらした。
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