時をこえて、またキミに恋をする。
「ああ、そうだよ。少し前まではな。だからこそ、俺自身が一番驚いてるよ。ずっと都子姫だけだと思ってたのに…」


宗治の頬がほんのり赤いような気がする。

でもそれは、夕日のせい…?


「お前は都子姫と比べて、がさつでアホでかわいげがないっていうのに。だけど、命がけで桜華を守ってくれた」


宗治はわたしの左頬をなでるように右手を添えると、流れる髪を耳にかけた。


「そのときに気づいたんだ。俺にとって、失って本当にこわいものは桜華じゃない。…都美、お前だって」


宗治が…わたしのことを見てくれている。

宗治の瞳には、わたしの姿が映っている。


「本当は、この気持ちはずっと心に閉まっておこうと思った。だって、俺はいつかはこの時代からいなくなるから」


…そうだ。

宗治は、現代の人間じゃない。
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