時をこえて、またキミに恋をする。
新学期早々に、顧問の先生から朝に呼び出されているわけがない。

でも宗治なりに、この場を切り抜けるために目一杯に考えた嘘だった。


宗治の背中を見送ると、わたしは七海と並んで歩く。


「なんかあたし、お邪魔しちゃったみたいだね」

「なに言ってるの。そんなこと――」

「そんなことないことないでしょっ」


見ると、七海はニヤニヤしながらわたしに視線を向けていた。

なにかをたくらんでいるような…そんな表情だ。


「いいこと、あったんじゃないの?」

「…いいこと?」


わたしが聞き返すと、七海がそっとわたしの耳に顔を近づけた。


「宗治くんと…♪この夏休みで、いい感じになったんでしょ♪」

「なっ…!」


七海の囁く声に、思わず顔を赤くして反応してしまった。

そんなわたしを見て、クスクスと笑う七海。
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