時をこえて、またキミに恋をする。
「だったら、俺は姫に会って無事を伝えなければならない。きっと心配しているはずだ」


わたしにはまったく愛想はないけど、そんなわたしには見せないような真剣な表情をするものだから、宗治は本当にその都子姫のことが好きなんだろう。


すると、わたしはここでハッとした。

なにかが頭の中を駆け巡って、ひらめいたというような感覚だ。


「…もしかして!宗治って、いつもわたしの夢に出てきた剣士…!?」

「は?俺が…お前の夢に?」


そうだ…!

絶対そうだ!


黒髪に近い濃紺の短髪。

秘色色の着物に、錆浅葱色の袴。


見覚えがあると思っていたけど、度々見る夢の中の男の子と同じだ!


「宗治と同じ格好をした後ろ姿の男の子を、何度も夢で見たの。しかも、その夢は火に囲まれた火事の場面で…」


わたしの言葉に、おじいちゃんとおばあちゃんは顔を見合わせる。
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