時をこえて、またキミに恋をする。
戻ったら、自分は生きていることを都子姫に伝えて、壱さんとの結婚を阻止したいみたいだし。


――しかし。


「次にいつ桜が咲くかなんて、それはわからんの〜」


キョトンとした顔のおばあちゃんは、ゆっくりと湯呑みに入った熱いお茶をすする。


「…はぁー!?わかんないってどういうことだよ!?」

「そのままの意味じゃよ。ここ最近は春にしか咲かんから、狂い咲きではなくて来年の春まで待つ必要があるかもしれんの〜」

「「来年の春ー…!?」」


宗治の声と重なったのは、わたしの声だ。

てっきり、すぐにでも宗治を返せると思ったのに。


今はゴールデンウィーク。

季節通りに桜が咲くとなると、ほぼ1年後ということだ。


「…そんなのっ、待ってられっか!」


宗治は立ち上がると、居間の襖を開け放った。
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