転生悪女の幸せ家族計画~黒魔術チートで周囲の人達を幸せにします~【書籍化+コミカライズ準備中】
40 情報収集
綺麗な青空を眺めながら、アルデラはノアを助けることを考えていた。
(ブラッドの夢に出て来たノア殺害の犯人は二人)
一人はノアの叔母であり、ライヤー子爵夫人のキャロル。
(でも、キャロルはどうしてノアを……? 彼女の情報がもっと欲しいわね)
アルデラは向かいに座るクリスに視線を戻した。
(クリスの黒魔術を解くと、どうなるか分からないから今のうちに聞けることを全て聞いておいたほうが良いかもしれない……)
「ねぇクリス」
声をかけるとクリスに穏やかな視線を向けられた。
「キャロルのことを教えて」
少し目を見開いたクリスは「それもノアを守るために必要なんだね。分かったよ。何が知りたいの?」と言いながら微笑んだ。
「彼女はどうして伯爵家に来たの?」
「まぁ、私が目的だろうね」
そう答えたクリスに、アルデラは『キャロルからの熱い視線に気がついていたのね』と思った。
(クリスって、そういうのに鈍そうなイメージがあったけど意外と分かっているのね)
アルデラが感心していると、クリスはさらに「正確には財産を持っている私、かな?」と付け足した。
「彼女は財産がなくなったとたんに伯爵家に来なくなったから。そして、事業が成功するとまた戻って来た」
(私の予想とだいだい同じね)
アルデラが「キャロルはノアには辛く当たっていたわ」と伝えると、クリスは目に見えて落ち込んだ。
「貴方のことが好きだから、ノアが邪魔だったのかしら?」
少し沈黙したあとに、クリスは重い口を開いた。
「キャロルは私の妻にも良くない態度を取っていたみたいなんだ」
「昔から貴方のことを愛していたってこと? でも、お金がなくなったら来なくなったってことは……貴方というより貴方の奥さんに執着していたのかも」
「妻に執着?」
不思議そうなクリスに、アルデラは答えた。
「だって、妹のキャロルは子爵家に嫁いだんでしょう? でも姉は伯爵家に嫁いだ。キャロルはプライドが高そうだったから、姉が自分より良い家柄に嫁いだのが許せなかったとか?」
「……なるほど」
「まぁ確信はないけどね。とにかく今後一切、キャロルをノアに近づけないで。いいわね?」
「ああ、もちろんだよ」
「それで、キャロルの夫のライヤー子爵はどんな人なの?」
夫ならキャロルと共謀してノアを殺害した可能性が考えられる。
「ライヤー子爵はとても穏やかな方だよ」
「剣の腕は? 実は強いとかあるの?」
「まったく聞かないね。争いごとは好まない方だから」
ブラッドの夢では、ブラッドは犯人からノアを守れず殺されてしまう。
(ということは、犯人はブラッドよりも強いはずなのよね。あのブラッドより強い人なんて、そうそういなさそうだけど……)
アルデラが「ねぇ、ブラッドって強いわよね?」と確認すると、クリスは「そうだね。相当強いよ」と教えてくれる。
「ブラッドの剣術は、学園在学中では一位二位の腕前だったんだ。だから、彼は王宮騎士団に入ると思っていた」
「入らなかったのね」
「正確には入れなかった、かな。視力が弱いのが原因らしいよ」
「それだけで?」
「王宮騎士団は、実力も必要だけど印象や見た目も重視されるらしいから」
「じゃあ、メガネをかけていたら絶対に入れないの?」
クリスは緩く首を左右に振った。
「もしブラッドが伯爵家の令息だったら問題なかったかもね」
「ああ、そういうこと」
ようするに王宮騎士団は、『実力と実家のコネで入る場所』らしい。
(そういえば、王宮騎士団に入っていたコーギルにブラッドが『顔重視で選ばれる者がいる』て言ってたっけ)
騎士団といっても高潔な集団ではなく、それなりに貴族社会の闇を抱えているようだ。
「じゃあ、ブラッドより強い人ってどれくらいいそう?」
少し考えたクリスは「少なくとも、王宮騎士団の騎士団長はブラッドより強いね。ブラッド自身がそう言っていたから」と教えてくれた。
(となると、騎士団長がノア殺害の犯人? でも、ブラッドと面識があるなら顔を隠していたとしても、ブラッドが犯人の正体に気がつくかもしれないし……)
馬車がゆっくりととまった。
話し込んでいるうちに街に到着したようだ。
クリスに「少しはお役に立てたかな?」と聞かれた。
「そうね、役に立ったわ。ありがとう」
クリスは嬉しそうに微笑んだ。
(ブラッドの夢に出て来たノア殺害の犯人は二人)
一人はノアの叔母であり、ライヤー子爵夫人のキャロル。
(でも、キャロルはどうしてノアを……? 彼女の情報がもっと欲しいわね)
アルデラは向かいに座るクリスに視線を戻した。
(クリスの黒魔術を解くと、どうなるか分からないから今のうちに聞けることを全て聞いておいたほうが良いかもしれない……)
「ねぇクリス」
声をかけるとクリスに穏やかな視線を向けられた。
「キャロルのことを教えて」
少し目を見開いたクリスは「それもノアを守るために必要なんだね。分かったよ。何が知りたいの?」と言いながら微笑んだ。
「彼女はどうして伯爵家に来たの?」
「まぁ、私が目的だろうね」
そう答えたクリスに、アルデラは『キャロルからの熱い視線に気がついていたのね』と思った。
(クリスって、そういうのに鈍そうなイメージがあったけど意外と分かっているのね)
アルデラが感心していると、クリスはさらに「正確には財産を持っている私、かな?」と付け足した。
「彼女は財産がなくなったとたんに伯爵家に来なくなったから。そして、事業が成功するとまた戻って来た」
(私の予想とだいだい同じね)
アルデラが「キャロルはノアには辛く当たっていたわ」と伝えると、クリスは目に見えて落ち込んだ。
「貴方のことが好きだから、ノアが邪魔だったのかしら?」
少し沈黙したあとに、クリスは重い口を開いた。
「キャロルは私の妻にも良くない態度を取っていたみたいなんだ」
「昔から貴方のことを愛していたってこと? でも、お金がなくなったら来なくなったってことは……貴方というより貴方の奥さんに執着していたのかも」
「妻に執着?」
不思議そうなクリスに、アルデラは答えた。
「だって、妹のキャロルは子爵家に嫁いだんでしょう? でも姉は伯爵家に嫁いだ。キャロルはプライドが高そうだったから、姉が自分より良い家柄に嫁いだのが許せなかったとか?」
「……なるほど」
「まぁ確信はないけどね。とにかく今後一切、キャロルをノアに近づけないで。いいわね?」
「ああ、もちろんだよ」
「それで、キャロルの夫のライヤー子爵はどんな人なの?」
夫ならキャロルと共謀してノアを殺害した可能性が考えられる。
「ライヤー子爵はとても穏やかな方だよ」
「剣の腕は? 実は強いとかあるの?」
「まったく聞かないね。争いごとは好まない方だから」
ブラッドの夢では、ブラッドは犯人からノアを守れず殺されてしまう。
(ということは、犯人はブラッドよりも強いはずなのよね。あのブラッドより強い人なんて、そうそういなさそうだけど……)
アルデラが「ねぇ、ブラッドって強いわよね?」と確認すると、クリスは「そうだね。相当強いよ」と教えてくれる。
「ブラッドの剣術は、学園在学中では一位二位の腕前だったんだ。だから、彼は王宮騎士団に入ると思っていた」
「入らなかったのね」
「正確には入れなかった、かな。視力が弱いのが原因らしいよ」
「それだけで?」
「王宮騎士団は、実力も必要だけど印象や見た目も重視されるらしいから」
「じゃあ、メガネをかけていたら絶対に入れないの?」
クリスは緩く首を左右に振った。
「もしブラッドが伯爵家の令息だったら問題なかったかもね」
「ああ、そういうこと」
ようするに王宮騎士団は、『実力と実家のコネで入る場所』らしい。
(そういえば、王宮騎士団に入っていたコーギルにブラッドが『顔重視で選ばれる者がいる』て言ってたっけ)
騎士団といっても高潔な集団ではなく、それなりに貴族社会の闇を抱えているようだ。
「じゃあ、ブラッドより強い人ってどれくらいいそう?」
少し考えたクリスは「少なくとも、王宮騎士団の騎士団長はブラッドより強いね。ブラッド自身がそう言っていたから」と教えてくれた。
(となると、騎士団長がノア殺害の犯人? でも、ブラッドと面識があるなら顔を隠していたとしても、ブラッドが犯人の正体に気がつくかもしれないし……)
馬車がゆっくりととまった。
話し込んでいるうちに街に到着したようだ。
クリスに「少しはお役に立てたかな?」と聞かれた。
「そうね、役に立ったわ。ありがとう」
クリスは嬉しそうに微笑んだ。