とある蛇の話
一章
僕の命
僕のお父さんとお母さんは、人間と蛇族だった。
お父さんは、人間界にいたお偉いところのお侍さん。
お母さんは禁断のエデンのリンゴを食べ天界から追放されてしまった、蛇の一族の子孫。
ちなみにお母さんの顔は、人間界にもいる鱗まみれの蛇の顔をしてる。
僕はそんなお母さんを、小さいながらもたくさん愛を注いだと思う。
大好きだった。
そんな顔を隠すように、毎日人間の顔に見せれる魔法のアイテム「人面マスク」をして日々を隠れながら生きてる。
天界に住む住人は、皆んな美少女か美少年、美女か美男子しか住んでいない世界だとお母さんから聞いた。
「そんな!!人間界には色んな人がいて、手を取り合って生きているのに、どうして顔のことを気にして人目を気にして生きて行かなければいけなの?」
マスクをして、偽りの美人と化しているお母さんに訴えた。
「それはね、私は呪われた蛇の一族で人間に恋をした罪人だからよ」
お母さんは、優しく微笑んだ。
家族共有ベッドの中、お母さんに包まれベッドに横になりながら僕の頭を撫でてきたけれど僕には心底、理解不能。
「せめて家の中でも、マスクは外していいんだよ?」
「少しの瞬間でも、蛇の顔だってバレるのが………やっぱり怖いの。ごめんなさいね、有馬……」
「人間界に憧れるなら、僕の名前「有馬」にして欲求を満たすぐらいなら、一緒に人間界で家族三人で住もうよ……。お父さんと一緒にさ!!」
ベッドの右で鼾をかきながら、眠るお父さんはとても端正な顔立ちをしている。
魔法のマスクによって、無理やり矯正をさせられているのだ。
醜いものも、美しいものもそれぞれ魅力があって綺麗なはずだと思っている僕にとって歪な世界。
どうしてそんなに、気にしてしまうのだろうか?
さっき、「罪を犯していた」というお母さんの言葉を聞いたけれど罪を犯さない生き物なんて全世界の中でいないと僕は感じるのに。