とある蛇の話
ーーでも……どうしてこんなに弟に、執着するんだろうーーー。
そんな事を考えていた内に、直ぐにその理由が判明。
「お父さんとの約束で、もうあの人は居ないからな……」
ーーこの人が、頑張って取り繕って涙が出そうなのを堪えているのは、家計を支えているからなんだ……。
「……お兄ちゃん………」
「さぁ、こんな話し終わって、ご飯にするか。というか、コイツは何を食べるんだ?」
「うーん………昆虫しかしらないから……なんともいえないんたけど……あれならあるよ鳥のささみ!!」
そうやって出されたお肉が、生だったことから凄くお腹をその後食べたら下してしまった。
2人が寝静まった夜、中庭に速やかに出てお手洗いを済ませたあと、そっと2階に忍び込んだ。
お母さんへの置き手紙を、リビングに有ったのを思い出すと何だか切ない気持ちになる。
ーーー「お母さん、遅くまでご苦労さま。うどん作って食べて」……か。お母さんもが働いているのか………。
何だか苦しい気持ちになったのを、抑えて即座に理央と書かれた部屋に進む。
ーーーかっこいい人だったな……少年というより頼もしいお兄さんって言葉がピッタリ。
もう少し彼の情報を知りたいがために、物音を立てずに忍び込む。
心の中で「ごめんなさい」という言葉を繰り返しながら扉をそっと抜けるけれど、バチというのは当たるみたいでーー。
「あっ!!お前だめじゃないか!!抜け出すなって言ったのに!!」
また首元を掴まれた。
ーーーそりゃ……そうだよね………ごめんなさい……。やるんじゃなった……。
「でも……もうこのまま下に行くの面倒くせぇーし………お前、一緒に寝ろ」
理央くんはそう言うと、僕をベッドの上に優しくおいて隣に寝転んできた。
ーーーこれっていわゆる、添い寝………。
顔から火が出るような感覚がしたので、彼をよく見れない………。
というか、なんでこんな状況になっているのか頭がよく回らない……。
いいのかな………いや、絶対やっぱりよくないよ!!
「コラ!!動くんじゃねぇー。もうお前の寝るところは今日はここだって言ってるだろ!!」
また首元を掴まれてた。
地味に痛い………。
「しかしまぁ、こんな困窮した世の中に、縁起のいい白い蛇がこの家にやってくるなんて、夢にも思わなかったなー」
困憊と疲労で、暫くぐったり横に顔をうずくめていたら、理央くんがそんな事を、呟いた。
「俺の父さんはな、俺が四年生ぐらいの時に死んだんだ………。癌でな。死ぬ直前まで頑固な親父だったけど……死ぬ1週間前かなー突然呼び出されてさー「弟とお母さんをよろしく」ってさ」