とある蛇の話
「おまわりさん!!やめてください!!この有馬お兄さんは、何も悪い事してないんです!!責任は僕達が取ります!!」
「そう言われてもなー、こちとら仕事で、ちゃんと取り締まらなあかんねん。ほら、兄ちゃん!!そこどきい!!」
勢いよく理央くんに掴みかかった。
だが、それを理央くんはすかさず背後に回り込みみぞおちを肘で狙い確実に落とす。
「っぐ!?」
急所を突かれた、警察官は床にへたり込む。
「俺は退かない!!有馬は俺が責任持ってこの家に住まわせるって決めたんだ!!コイツにも何か事情があって、この街に来たんだ!!見逃してやってくれよ!!おっさん!!」
おっさんと言われたことに、不服なのか口をあんぐりさせて絶句していた警察官。
「ーーーお前、なんちゅーた!!もう一遍言ってみー!!」
怒りの形相に震えた警察官の顔に、汗が一粒流れ出た瞬間。
警察官は勢い余って、直ぐ様理央くんに掴みかかり胴体を固めた。
不意を突かれてしまったのか、あっという間に身動きが取れなくなってしまう理央くん。
苦しそうに藻掻き、それを警察官が止める。
「お前、高校生のマセガキか?子供は大人しくおえらいさんのゆうこと信じてたらええのに、変なプライド掲げるなっちゅうねん!!現行犯逮捕や!!業務妨害でな!!」
羽交い締めにされてしまった、理央くんに手錠がハマってしまう。
ーー僕のせいだ……。
うなだれそうになる僕。
だけど、決死の覚悟をしたあと、諦めるわけにいはいかない!!
「……っ!?お前、離せっちゅうねん!!」
僕は理央くんを助ける為に、警官に掴みかかった。
「お前、やっぱり変な奴やったんやな!!お前も現行犯逮捕や!!」
振りほどかれた体は、壁に衝突。
背骨を取られてしまったかのような、鋭い痛みが走る。
「理央くんはっ……かんけ……ない!!解放して………っう!!」
僕は震える足元を、手で押さえて起き上がった。
「有馬お兄ちゃん………」
「有馬……お前っ、無理……すんなっ!!」
苦し紛れに、つぶやいた言葉は僕の心に痛いほど染みる。
全ての因果には、僕が原因となるからこそ僕はーー。
警官に向かって踏み込む。
すると物凄いスピードで、警官が理央くんの眼の前から吹き飛んだ。
僕もその風に身を任せて、掴みかかっていたから飛んだのだけど。
「うわぁあああっ!!」
物凄い勢いで、玄関先に飛ばされた僕と警官は掴み合っていた。
警官は背中を打撲してすり減って、背中を怪我しており、僕は洋服が風でボロボロになっていた。
それだけ早く、動いたから警官はこの世のものとは思えないような顔をしていてーーー理央くんもまた引きつっていた。
「く……狂ってる!!お兄ちゃん、人間じゃないやろ!?」
目を見開いて、警官は言った。