とある蛇の話
第三章

僕の運命はーーー



一件落着だと思っていた、とある深夜。



あの事件から1週間経ったころだった。



すやすやと寝息を立てて、寝ている理央くん。



静かなる深夜だったのにもかかわらず、僕は眠れなかった。




なぜ眠れなかったのかは、さておきーーー僕は窓から見える月を眺めた。




肌寒い季節だ。



もこもこした、寝間着に着替えたのがよかったのか、夜風が気持ちいい。



でもーーーすごく嫌な予感がした。




それは言葉にならない、おぞましい何かが近づいてるって感じでーーー。




「………?」




僕は不意に身体をさする。



あれ……?




おかしい………?




さっきお風呂に入った時には、こんなゴワゴワしてたっけ?




顔を歪めて、腕をまくろうとした時だった。




「やぁ、また会ったね」




目線の先に、純白な毛玉が降りてきた。




それは、空から降ってきたともいえようか。




「って………、え?!?」





「久しぶりだね。有馬。覚えてる?」




目の前に降りてきたのは、ロロと名乗っている神様そのもの。




足先が地面についた時に、金箔が舞う。




ちょ……どうしてこんな時に?!



ベランダに、僕と猫が暫く向かい合う。




「何で君がいるの?」




「心配していたのに、冷たいね」




「神様が、こんなところで油売ってたら駄目でしょ!?」





「運命っていうのはね、自分でつかみ取るものだから、僕の出番は案外少ないってわけでーーー様子を見に来たと思えば、怒られるとは。馬鹿馬鹿しいな……。自分でも笑えるよ。また、理央くんのポイントを使って、有馬に手助けをしようなんて、天界の住人がどういうかな?それも、スリルがあって楽しいかもしれないが………」





「………どうゆうこと?」





「そのまんまの意味。君に、助言をする助けるんだよ」





「えっと……何で神様は……僕を助けてくれるの?」




「君は1番手がかかる子供みたいなものだからさ」




「子供?」




「そう。唯一、神様に盾つける子供だったから。放っておけないんだ。まぁ、亡くなった妻のためでもあるからね」




ふーん……って、全く意味がわからない!!




「まぁ、聞いてくれよ。単刀直入に言うとーー君、禁忌図書館の鍵に騙されてるよ?」




「………え?」




全くもって、理解ができず僕は固まった。




「腕を見てご覧」




そっと腕をまくる。




その瞬間スローモーションがかかった。




冷や汗をかきながら、まくったのはいいが問題はそこだった。




鱗だ。



ありとあらゆる関節、皮膚に青白い蛇の鱗が波打っていた。



それも信じられないくらいに。




おかしい………確かにお風呂には入ったが、1時間は経っている。




その時間になれば、鱗は消えてなくなってすべすべの肌に戻るはずなのに。




「禁忌図書館の鍵が嘘を教えて、君に「呪い」をかけたんだ。あの鍵の精霊は悪魔に取り憑かれていたんだよね。残念な事に」





「え?!でも……根拠は?」





「腕の関節部分を見てご覧。タイマーがあるでしょ?」




僕は腕を伸ばして、目を凝らす。



真っ赤な数字が光って、何かをカウントダウンしてる。




これは一体………?




「それはね、禁忌図書館の鍵の精霊しか使えない魔法で、少し濁ってる。うん………血の匂いがするでしょ?」





嗅いでみる。



鉄の匂いがした。




「これって………でも……どうして僕なんかを、騙したの?」




「多分……嫌がらせで巻き込んだんだか、逆恨みで苦しめたかったんだと思う。禁忌図書館の鍵に取りついた悪魔が」




なんだか鼻の奥にわさびを付けられたような、ツーンとくる感覚が全身を駆け巡る。




「それって………もしこのカウントダウンが切れてしまったらどうなるのさ!?」





「君は何の変哲もない蛇に姿を変えて、この世界の住人の記憶から君という存在が記録されなくなってしまう。それだけは言える」




「そ………そんな!!困るよ!!どうしたらいいの!!僕を助けてくれるんでしょ!?この呪いといてよ!!」




「それは無理だね。そんな事をしだしたら、何でもありの世界になって、人間界を作る理が破壊されて、この存在すること自体不可能になってしまうから」




「じゃあ………あれなの?本当に、助言しにいただけってことなの?」




「まぁ、そういうことになるね」

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