俺様御曹司は十二歳年上妻に生涯の愛を誓う

東條さんが彼の指示で私の様子を見に来てくれたのである。

ドアを開けると泣いている私を見て、東條さんが問いかけた。

「どうなさいましたか」

「寂しくて、悲しくて、助けて」

そんな私のただ事ではない様子に、東條さんは思わず私を抱きしめた。
この時私の精神状態は大きく崩れていた。
抱きしめてくれた東條さんを彼だと思い「蓮、蓮」と叫び、東條さんの胸に顔を埋めた。

東條さんはしばらく私を抱きしめたままでいてくれた。私はやっと我に帰り、東條さんに縋っている事実に気づいた。

「ごめんなさい、私……」

「大丈夫です、自分の方こそ理性を失いました、社長に手を出すなと言われていたのに、自分は首ですね」

「蓮さんには言わないでください、心配しますので」

「かしこまりました」

< 107 / 316 >

この作品をシェア

pagetop