俺様御曹司は十二歳年上妻に生涯の愛を誓う
「はじめまして、この度は坊ちゃんを助けて頂きありがとうございました、後ほど旦那様が到着されますので、しばらくお待ち頂けますでしょうか」

「あのう、お互い様ですから、お気になさらないでください」

「ありがとうございます、でももうしばらくお待ちいただけますようお願いします」

私は待たずに帰ろうと思った。

「失礼ですが、お名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか」

「藤城美希です」

「では後ほど」

そう言って初老の男性は病室を後にした。

私は男性が坊っちゃんと呼ばれていることに、あまり関わりたくないと思い、病室を後にしたのである。

「あの時輸血が必要だったのが俺」

「えっ」

「あの時美希が居なかったら俺は今ここにいなかった」

「お互い様です、RHマイナスの人は大変ですから」
< 48 / 316 >

この作品をシェア

pagetop