もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない




――ミルキー様が、ずっと私を騙していた。





ステージの下。

無気力で肩を落とす私。

私の絶望顔は、涙でぐしょぐしょになっている。



ミルキー様の顔を見るのが辛くなって、私は振り向いた。

惨めな私の姿を、全校生徒が心配そうに見つめている。



「ねぇねぇ琉希君、忘れてない?」


「えっ?」


「今は私が主役の時間なんだけど!」



ステージの上でしゃがみ込むミルキー様の腕を、綾芽さんが引っぱる。

悲しそうな瞳で私を見つめならが、立ち上がるミルキー様。



「琉希君が他の女子と話してるとこ、見たくないよぉ~」



むくれ顔の綾芽さんに、ミルキー様は連れ去られて行く。

どんどん広がっていく、私とミルキー様の距離。




そうでしたね。

手も触れられないこの距離が、ご主人様とメイドの本当の距離なんですよね。


< 128 / 269 >

この作品をシェア

pagetop