もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない
――ミルキー様が、ずっと私を騙していた。
ステージの下。
無気力で肩を落とす私。
私の絶望顔は、涙でぐしょぐしょになっている。
ミルキー様の顔を見るのが辛くなって、私は振り向いた。
惨めな私の姿を、全校生徒が心配そうに見つめている。
「ねぇねぇ琉希君、忘れてない?」
「えっ?」
「今は私が主役の時間なんだけど!」
ステージの上でしゃがみ込むミルキー様の腕を、綾芽さんが引っぱる。
悲しそうな瞳で私を見つめならが、立ち上がるミルキー様。
「琉希君が他の女子と話してるとこ、見たくないよぉ~」
むくれ顔の綾芽さんに、ミルキー様は連れ去られて行く。
どんどん広がっていく、私とミルキー様の距離。
そうでしたね。
手も触れられないこの距離が、ご主人様とメイドの本当の距離なんですよね。