もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない
「あ~。やっと静かになった……」
重い溜息に混ざる、やる気のないぼやき声。
「俺の爆睡タイム……邪魔しに来たとしか思えないんだけど……」
消えそうなほど弱弱しい声なのに、私への怒りが込められているように聞こえてしまう。
自分の机に片側のほっぺをくっつけ、私に背を向け、横向きで机に突っ伏している男の子。
同じクラスの猫波ゆら君です。
黒くて綺麗なサラサラ髪は、目が隠れるほど長くて。
体力を吸い取る妖怪に、とりつかれているのでは?
そう心配になるほど、細身で無表情で無気力なクラスメイト。
休み時間や昼休みは、自分の席で寝ていることがほとんど。
授業中だって、椅子に座ったまま寝ていたりもします。
声をかけられたのは、初めてかも。
話しかけられたというよりは、怒りをつぶやいただけかもしれませんが。