もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない


「あ~。やっと静かになった……」



重い溜息に混ざる、やる気のないぼやき声。



「俺の爆睡タイム……邪魔しに来たとしか思えないんだけど……」



消えそうなほど弱弱しい声なのに、私への怒りが込められているように聞こえてしまう。


自分の机に片側のほっぺをくっつけ、私に背を向け、横向きで机に突っ伏している男の子。

同じクラスの猫波(ねこなみ)ゆら君です。



黒くて綺麗なサラサラ髪は、目が隠れるほど長くて。


体力を吸い取る妖怪に、とりつかれているのでは?

そう心配になるほど、細身で無表情で無気力なクラスメイト。


休み時間や昼休みは、自分の席で寝ていることがほとんど。

授業中だって、椅子に座ったまま寝ていたりもします。


声をかけられたのは、初めてかも。

話しかけられたというよりは、怒りをつぶやいただけかもしれませんが。


< 140 / 269 >

この作品をシェア

pagetop