もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない
「じゃあ書記さん、副会長を助けてあげなよね」
「えっ? 海花を助けるって?」
「副会長がニコニコ笑ってばかりの良い子ちゃんだから、嫌味を言われ続けるんだよ」
ゆら君の言葉に、目を見開いて驚く美記ちゃん。
「海花、誰かに酷いことを言われてるの?」
目の前に立つ美記ちゃんに、心配顔で両肩を掴まれたけれど
「いじわるなことを言う人なんて、いないですよ」
私はある感情をごまかしたくて、とびきりの笑顔を美記ちゃんに向けてしまう。
「だよね? 海花が人に嫌われるはずないもん。あ~、びっくりした~」
美記ちゃんは、ゆら君を睨みつけると
「また海花に変なこと言ったら、机蹴り飛ばすからね!」
ドスを効かせて自分の席に戻っていったけれど。
――ごめんなさい。
ゆら君を、かばえませんでした。
私は、弱い自分が情けなくてたまらない。
美記ちゃんには隠してしまいたしたけれど……
ゆら君は気づいていたんですね。
たまに綾芽さんが私に、心無い言葉をささやいてくることを。