もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない


「琉希君ね、私の家に挨拶に来てくれたんだ~ 一生大事にしますって、私のパパママに頭下げてくれたの」


「昨日初めて、琉希君のお部屋に入っちゃった。綾芽、大好き!って言いながら、ギューって抱きしめてくれたんだよ。超幸せだった~ お姫様になった気分だよ~」


「婚約者のお披露目パーティーを開いてくれるの。琉希君が私だけに似合うドレスを、一生懸命選んでくれたんだよ。全部似合うから決められないねって、目をハートにして私を見つめてくれた時なんて、もうドキドキキュンキュンで。私の心臓が大変だったんだから。これ婚約パーティーの招待状。海花ちゃん、私の親友として絶対に来てね」


幸せ話を聞くたびに、私の心はキリキリと痛んでしまうんです。

でも苦しみは、顔に出さない。

笑顔を張り付けることで、なんとかごまかしています。



ハイテンションでスマイルを飛ばし続ける綾芽さんですが。

教室に戻る直前、彼女はいきなり人格が変わるんです。

私だけに聞こえるように、私の耳元でコソコソコソ。



「琉希君の前から完全に消えてよ。目ざわりだから」



怖いくらいニコニコ笑いながら。

不気味な魔女声で。

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