もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない


俺は心臓に手を当てる。


海花が思い描く、完璧な王子様を演じきらなきゃ!

俺のことを大好きになってもらいたいから。

そんな欲深い思いを胸に、俺はドアを開け、優雅な微笑みを海花に向けた。



「待っていたよ」



声もできる限り甘々に。

ミルクチョコを溶かしたように、甘さを響かせる。



「今晩も、お邪魔いたします」



海花は焦ったように、お辞儀をした。


あれ? 

今夜の海花は何かが違う。


俺の部屋に来るとき、緊張しているのはいつものことだけど。


笑顔がないというか……

視線すら合わせてもらえていないというか……



視線を床に落としている海花。

違和感はあるものの、俺は海花を部屋の中に招き入れる。



部屋の中に進む海花。

すると急に、驚き顔を浮かべた。

俺の勉強机に何かある?

< 44 / 269 >

この作品をシェア

pagetop