もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない


学校中の先輩男子たちが、海花を見に教室までやってきた。

「可愛い子が入学してきた」

そんな噂が、学園中に広まっていたみたいで。


本当に可愛かったんだよ、中1の時の海花は。

(今でも可愛いけど)


ほわわん。おっとり。ずっとニコニコ。


ブレザーの制服を着慣れていない感もプラスされ、陽だまりで微笑む天使って感じで。



廊下では、誰が一番に告白しに行くかのジャンケン大会が始まっちゃって。

教室の外のお祭り騒ぎに、鈍感な海花は自分のことだって全く気付いていなくて。


「海花ちゃ~ん、今大丈夫?」


教室に入ってきた、やけにカッコいい男の先輩。


彼を見て、俺のモフモフ耳が飛び出てしまった。

勝手に。勢いよく。ぴょこって。


原因は嫉妬。間違いなく嫉妬。

海花をとられたくないという、獣の本能。


教室で、耳だけ獣人化をしてしまった俺。


生徒を見回すと、明らかにみんなが俺の耳に気づいて驚いている。

わんこ獣人を生で見たのが、初めてな人ばかりじゃないかな?


入学3日目で、もうバレたかぁ……


海花LOVEをコントロールできなかった自分の責任だね。

しょうがない、ここで暴露しよう!


俺は覚悟を決めたんだけど……

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