もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない
海花は、タタタと俺のところに走ってきて。
両手で俺の耳を、一生懸命隠してくれたの。
「大丈夫です。誰にもバレていませんから、安心してくださいね」
陽だまりスマイルを、俺に向けながら。
海花の笑顔、可愛すぎでしょ?
俺のメイド、健気すぎだよ。
海花の小さい手じゃ、俺の耳なんて隠しきれてないと思うけどなぁ。
そう思いつつも……
「みんなにバレてないみたいだね。海花のおかげだよ、ありがとう」
俺は嘘を紡ぎながら、笑顔全開で微笑みかえしちゃった。
俺がワンコ獣人だって、生徒みんなが知っていること。
今でも、海花に内緒にしていてごめんね。
海花が俺に構ってくれるのが、幸せなんだ。
この学園を卒業するときに、心から謝るから。
当分の間、海花との幸福な関係を堪能させて欲しい。
俺たちが通う虹の宮学園は、中高エスカレーター式。
中学を卒業しても、海花とは高校3年間は一緒にいられる。