もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない
俺は寝る時だけ、完全な犬の姿になる。
モフモフ真っ白な、小型のポメラニアンに。
そして犬の姿になったら、人間の言葉は話せない。
だから、一日の終わりには
最上級に甘い声を、海花に吹きかけることにしているんだ。
『海花が見る夢の中でも、こうやって俺が、海花を独占していますように』
そんな淡い期待を込めて。
「海花、おやすみ」
ミルクキャンディーで一音ずつ包み込むような、俺の甘くて優しい声。
「おやすみなさい」
エンジェルスマイルを浮かべる海花を堪能して、俺はボワンと変身をした。
ふわふわモコモコで真っ白な、ポメラニアンに。
俺が着ていた服の下からガサゴソと顔をだし
ピョン!
ベッドの上に飛び乗る。
『早く海花の体温を感じたい』
欲望が沸き上がってしまうのは、獣の血が騒ぎだしている証拠だろう。
ベッドに腰掛ける海花に近寄り、俺は海花の膝の上で丸くなった。
長いしっぽを、フサフサな体に巻き付けながら。