もふかわ生徒会長は、求愛コントロールができない
「琉希様、琉希様」
「んっ?」
俺の隣に立つ柿崎さんのの声で、妄想空間から帰還した俺。
「やっぱり、寝不足なのでは?」
眼鏡の奥をジーっと光らせる、柿崎さんの目が怖い。
真面目顔で、俺の顔を見るのはやめてくれないかな?
「違うから。寝不足じゃないから!」
脳内に現れた架空の恋のライバルたちを、蹴落としていただけだから!
「そうですか。それならいいです」
柿崎さんはあっさりと返事をして、運転席に乗り込んだ。
俺と海花も、ワンボックスカーの2列目に並んで座る。
席と席の間に通路がある。
だから俺は、海花にくっついて座るのが不可能だ。
残念なような……
ヘタレな俺にはちょうどいい距離感なような……