君にかける魔法
「わ、分かりました。」

私は馬鹿だった。





「モモ、一緒に勉強しようって言ったじゃん。」
「ごめん。」

青葉さんは大学生。
頭が良いし、勉強を教えてくれるので疑問は解決出来る。
テスト前は、いつもならナツキとクルミと勉強してた。
楽しかった。
分からないところを教えあったり、たまに飽きたらゲームしてみたり。

私の生活は青葉さん中心になっていった。
私に逆らう勇気なんて無かった。
勉強をする。
そして、


「ま、まっ、待って……」
「もうムリ…」


会う度に強制的に行為を求められた。
そこに恋とか愛とか何も無い。
感じるのは、私を独り占めする独占欲、狂気。


「お姉ちゃん、顔色…」
「だ、大丈夫。」

自分でも冷静になれば分かることだ。
頭の片隅では分かっていたと思う。
このままじゃダメだって。

でもこんな地味な私を、何の取り柄のない私を受け入れて、
女の子としてみてくれて、

そんな人、他にいないでしょ……


学校に行っても、バイトに行っても、何をしてても、楽しくなかった。
何も感じない味気の無い日々が流れていき、テストが無事終わった。

私は前回よりも点数を大幅に上げていた。

「モモ、凄いじゃない」
「うわぁ、回答写させてー」
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