君にかける魔法

好きだよ。

私も好き。

ねぇ、

『幸せになってね』







「はっ、あっ…」
「起きたわねー」

私はどうやら寝てしまっていた。

「お姉ちゃんに起こさないでって言っといたから!」
「ありがと…」

星川先生の授業だったらしい。

隣を見ると、ナツキがいて、
後ろを見ると、クルミがいて、

いつも通りの、

いつもと変わらない光景なのに、


「私、バカだなぁ…」

「急にどうしたの?」
「誰かさんのバカが移ったのかしら。」
「え!?」

世界が色づく。

眩しい。


とても眩しかった。








『別れてください。』

私が出した、答え。
私が手離したくない、大切にしたいのは、

あなたじゃない。


『チャンスをくれ』





「ソノ。」




「…なんで。」




帰り道、振り返ると青葉さんがいた。

「今日シフト入ってますよね?行かなくて大丈夫な…」

「どういうこと?」

今やり取りし合ったばかりのLIN○をこちらに向ける。

「ねぇ、ねぇ、説明。 して。ほら。」
「こ、言葉の通りです」

地面にスマホが落ちる。

画面が割れて、破片が周囲に飛び散る。

狂ってる。

一歩一歩近づいてくる。


ここで逃げたら、私はこの人の言いなりになり続けなければいけなくなる。


負けない、

負けない、




「ひどーい。女の子泣かせるなんてー」


私の横を通り過ぎる、


金色の髪の毛……
< 106 / 154 >

この作品をシェア

pagetop