君にかける魔法
「この子泣かせるなんて許せないんだけど。」

「ナツキ。」

今日は用事があるって、部活が休みって言ってた。
クルミと遊びに行くはずじゃ…

なんでいるの…

「ここ最近、…なるほど。あなたのせいだったんですね。お兄さん。」

「は?ソノ、知り合いか?」

こくりとおびえながら私は頷く。

「お前ら、何?」
「はぁ?」

「女子が多い学校だからって、レズかよ。気持ち悪っ、」


ボキッ…


「あはは。早く消えてよ。殺されたくなきゃさぁ、ね?」

口の端から血を流した青葉さんはその場を去っていった。


「いやぁ、この技を出す時が来るとは、はい、大丈夫?」

ナツキが私の目の前に手を差し出す。

「ナツキ…」
「様子がおかしいとは思ったの。立てる?」

なんで助けに来てくれたの…
差し出された手が、震えた私の手をぎゅっと握る。

「怖かったね、頑張ったね…」

足をふらつかせながら立ち上がった。

ナツキに背中を支えられながら、私はゆっくりとした足取りで家に帰った。
頭が全く回らない。
何も考えられなかった。

放心状態のまま家に着くと、お母さんが驚いた表情を見せた。
ナツキがさっき起こったことを説明する。
それが終わると私は、母とナツキ、2人に支えられながら自分の部屋の中に入る。

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