君にかける魔法
でも急なことすぎて、喜ばなきゃ、応援しないといけないのに、素直に後押しする気持ちになれなかった。

本当は行ってほしくない。
ずっと隣にいたい。

どんどん前へ進んでいくナツキやクラスメイト達。

私は進路が何も決まらない。
焦りと不安が押し寄せてくる。

私は何度こんなことを繰り返すんだ。



私はナツキが日本を経つ日、空港に行かなかった。



その日、クルミに始めて怒鳴られた。
あんなに怒ってるの見たことがなかった。

後悔した。
もう遅いのに。


私はその後悔を無駄にしないために、自分を模索した。




「進路決めました。」

「…やっと、良かったね、うん。」

他の同級生より遅れて、私は自分の進む道を決めた。


『ヘアメイクアップアーティスト』


次会う時まで、私だって成長していたい。
もっともっとあなたに素敵な魔法をかけられる人になりたい。

ヘアメイク事務所で働きながら、技術を学ぶことにした。
学校に行く選択肢もあったけど、現場でいち早く活躍して、自分の夢に向かってどんどん階段を駆け上がっていくナツキに追いつきたかった。





だから、会うのはもう少し成長してからが良かったなんて思ってしまったり。
< 141 / 154 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop