君にかける魔法
ナツキは少ししゃがんで、私と目を合わせる。

あの頃と変わらない、ナツキだ。


私の体は、ナツキに抱きしめられる。

「離れて、ごめんね」

耳元で優しく囁くような声が聞こえた。

私は思わず涙がこぼれた。


「ナツキ…泣いて…」

「無理、今顔見せられん!」

ナツキは抱きしめる手を強め、顔を私に見せてくれない。
そんなところもたまらないくらい好き。

私はこの先何回失敗して、後悔するんだろう。

でも揺るがない。



私は、どうしようもないくらいナツキが好きなんだ。











「私、言いたいことがあるの。」

窓際の席に2人並んで座り、私は言いたかったことを伝える。

「え、何?」

ナツキは興味津々な表情で私を見る。
ほんのりメイクをしているような感じがするのは、海外にいたからかな。


「私、ヘアメイクアップアーティストになります」


「え、め、めっちゃ良い!かっこいいよ!!」

私の手に自分の手を重ね、前のめりでナツキはそう言ってくれた。

「夢が見つかったのは、ナツキのおかげなの。」

ナツキが少しぽかんっとした顔をしている。


「…ありがとう。ナツキがいなかったら私何も無い人間だった……」
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