君にかける魔法
学園祭当日。
「みんな集まったー?」
学級委員の問いかけに、盛り上がりを見せるクラスメイトは気合を入れた声で各々盛り上がっている。

「そこ……」

空気を察した学級委員。
一瞬にして視線は窓側のこちらへ。
そして私の後ろの席。

「藤堂さんは?」
「……っ」

「ま、まだ来てないみたいだから連絡するね!」
「ごめん、ありがとう、美園さん」

学級委員と目が会わないようにナツキが横を向く。
「じゃあ、着替える人は着替えて、準備始めてー」
一斉にクラスメイトは移動する。

「ナツ…」
「早く準備始めよっ!」

いつも通りの明るい笑顔。
でもそんなわけない。
「私、クルミちゃんに連絡する」
「…多分、無駄だよ」

一瞬で表情が変わったのを感じた。
ナツキの表情じゃない。
こんなに陽の光が差し込んでいるのに、目にはひとつも光がなかった。

時間もないので、一言クルミちゃんに『大丈夫?体調悪い?』とLIN○を送り準備を始めた。






学園祭1日目が終わった。
出店時間も終わり、LIN○を開くと青葉さんからメッセージが届いていた。
あれからバイトで1度だけ会うことがあって、急に帰り道で別れてしまったことを謝ったら、『全然大丈夫』と言ってくれた。
明日は一般開放日なのは結構この辺りだと知れ渡っているので、来てくれるという内容だった。
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