君にかける魔法
『スミカ、どうしよう。』

クルミちゃんが一番仲が良かったのは勿論ナツキだった。
でもよく色んなことを相談していたのは、スミカちゃんだった。

『私…』



"ナツキが好き……"





『でももう、隣に、居れない。』
『それは好きだからかな』



『私、踊れなくなるかもしれない』



2人を恋愛感情を抜きにして、つなぎとめていたのは部活だった。
部活が一緒でクラスも一緒、
実は人見知りのクルミちゃんにはそれはとても嬉しいことだったみたい。
異変が起こったのはかなり前。
でもナツキと共に輝くために、自分の体に負荷をかけ続けた。







「クルミ頭硬いから、無理して無理して、」

本気で好きなんだ、ナツキのこと。

「馬鹿だよ。クルミ。」
「……」

少し下を向いて暗い顔のスミカちゃん。

「私、クルミが好きなの。」
「…え?」

「だから苦しんでるところなんて見たくないの。」



「はーい、お疲れ様ー」

担任が来た。
会話は遮断された。


私の心はなんとも言えない感情で埋め尽くされた。

ナツキのことをクルミちゃんが好きで、
クルミちゃんのことをスミカちゃんが好きで、

ナツキは誰を思ってる…


『セイヤは全部分かってた』


ナツキは何を思っていた…
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