君にかける魔法
「今日もかわいい!」

少し声が大きめだったようで一瞬たくさんの視線を感じた。

「声でかいわ、はずかしー」
「ごめんごめん。本当のことだから」

頬をがほんのり赤くなったのはチークのせいかもしれない。

間もなく開店だ。





丁度13時といったところ。
お昼ご飯時ということもあり、うちのメイドカフェは好評で忙しくなる。

「あの子可愛い」
「めっちゃ美人、LIN○貰おうかなー」

他校の男子たちの視線の先にいるのはナツキだ。
売り子は可愛い子ばかりだが、髪色もあってかとにかく目立つ。
そしてチア部持込みの可愛らしい笑顔で接客している。
女の私から見ても可愛い。


「ちょっとおふたりさん、休憩時間だから休んで」
大木さんが調理をしながらそう言ってくれたので、私とナツキは少し休むことに。

どこか見て回ろうとナツキと教室を出た時、私の名前、いや、この声…と思い私は振り返る。

「ソノ!」

私に手を振りながら、周りにいた数人の男子たちと別れ、青葉さんが私の元に駆け寄ってくる。
ナツキは耳元で「誰?」と聞いてくる。

「バイトの先輩なの。」
「こんにちは」

ナツキに向かっていつも通りの柔らかい雰囲気で挨拶をする青葉さん。

どうしよう…ナツキと見て回ろうと思っていたけど……

「…もぉ、そういうことなら言ってくれればいいのに!ほら、2人で楽しんで」

その言葉を残し、笑顔を作り、ナツキは少し離れたところにいた同じ部活のこの所へ走って行ってしまった。

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