君にかける魔法
「そんな!」

緊張して…なんて言えない。
人通りが少ないため、ほぼ2人空間といった感じ。
…無理。

「ソノは2人きりとか慣れてないの?」
「…はい。」
図星だ。
花火大会の日なんてバレバレだったよなと、走馬灯のようにぐるぐる自分の恥ずかしいところが思い出される。

「ごめんなさい。おかしいですよね、ははっ……」

緊張を解こうと、クレープを頑張って口の中に放り込んでいく。

「口のとこ、ついてる」

スプーンを持っていた手が止まった瞬間に、青葉さんは私の口の横に着いていたホイップクリームをとると、自分の口の中に入れた。

漫画!?

と、何とも馬鹿げた発想をしてしまって思わずクレープを食べる手が止まる。

「…ずるいです」
「?」

「青葉さんはイジワルですね」


私の視界は、一気に暗くなる。
こんなに外は晴れていて、眩しいはずなのに。




「ソノが好き。」



視界に光が差し込むと、青葉さんがそう言った。

いつもの優しい、柔らかい表情ではない。

大人

真っ直ぐな真剣な瞳

私の鼓動が早くなる

音が聞こえてしまいそう


「付き合って欲しい」


目線をそらすことが出来ない


「わ、私…」

少しコクっとうなずき、「ゆっくりでいいよ」と口パクで言われる。


私はゆっくり瞬きして


「こ、、こんな私でも、、、いい、ん、ですか……」

「このままのソノが好き」

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