君にかける魔法

ダブルセンターの2人。

2人はステージの真ん中で輝いてた。

クルミちゃんの足にはテーピングとサポーターが着いていた。

「普通だったらあんなに動けない。日常生活も動きにくいはず……」

体育館の壁沿いに立っている先生たちが小さな声で話していた。

高いジャンプ
綺麗なターン
キレッキレのダンス

ステージに立てる喜び


2人が最高に輝くこの一瞬が永遠に続いて欲しいと思った。




曲が終わると大きな拍手、歓声で体育館はいっぱいになった。

「ありがとうございました!」

一礼して笑顔で全員がステージ袖にはけて行く。


「クルミちゃん、良かったね」
「…うん。」
スミカちゃんの目からは涙がどんどんでてきた。

最高に輝いてた。

こうして今年の学園祭は終了した。









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チア部部室

「もうみんな帰ったかしら?」
「うん。」

「ナツキが最後にコーチにお願いしてくれたから、私は今日踊れた。本当にありがとう。」
「何?改まってー」


ふたつの影が重なる。

外からは生徒たちの声。


「これが私の気持ち。私はこれ以上望まない。…ナツキも正直になって。」


足を引きずるようにして、ひとつの影が消える。



少し感触が残る唇を撫で、早くなる鼓動


ひとつ残った影。



その影は行く先が決まらない。





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