君にかける魔法
『改めてよろしく』
青葉さんからのLIN○が来ていた。
とうとう私にも彼氏が出来てしまったか、と不思議な感覚で、頭がふわふわする。
世の女の子たちはこれを経験しているとなると、心臓が破壊しないか不安になる。(いつか消えてしまいそう!!)
いつもの帰り道も少し違うように感じる。
少し大人になれたのかなって思ってみたり。
感情の行く先がどこか分からない。
今の状態、青葉さんがいたら絶対見せられない。
とぼとぼと薄暗い道を一人で帰る。
「待って!!!」
後ろを振り返ると、ゆっくりとこちらに歩くクルミちゃんがいた。
私は思わず駆け寄っていく。
「ごめんなさい。流石に早くは歩けなくて。」
「大丈夫?」
「大丈夫よ。」
バイト代入ったばかりだし、
「タクシー呼ぶ?歩くの辛いよね、この辺バスは……」
「いいの。」
スマホで調べようとした私の腕をパシッと掴み、クルミちゃんは腕が動かないようにしてきた。
「ごめんなさい。」
腕を掴んだまま、クルミちゃんは私に向かって頭を下げた。
「何で謝ってるの?」
なにか悪いことをされた記憶は思い当たらなかった。
「LIN○返してないし、」
「そんなこと全然良いのに!」
私はまだ下を向いたままのクルミちゃんに話す。
今日のクルミちゃんに言いたかった。
「凄くかっこよかった、ダンス」