君にかける魔法
クルミは部活を辞めた。
マネージャーとして残る選択肢も提案されたそうだが、それはしないようだった。

バイトまでの時間をクルミとよく過ごすようになっていった。
今まではお淑やかで、冷静な大人っぽい感じと思っていたけれど、そうでもないみたいだ。

意外とジャンクフードが好き。
お弁当には和惣菜がいつも入っていたからだ。
「お母さんが作るものは好きだけど、その辺のやつはこういうのの方が落ち着く」だそうだ。

クルミと少しずつ距離が縮まっていくことがとても嬉しかった。

実は青葉くんとのお付き合いも順調で、なんだか全てが上手くいっているみたいだった。


制服の冬服移行期間。

だんだん暑さもなくなり、季節は移り変わっていく。


私たちにも何か変化が起こるみたいだった。





「班決め、決まりましたー」

そう、ビッグイベント・修学旅行だ。
2年生の秋になるとあるのだ。
行き先は関西方面。
初めて行くのでワクワクしていた。

「いやー良かった。流石我が姉!」
「ナツキ、絶対裏で手をまわしたでしょう?」
「してないって!」

グループ行動やホテルの部屋割りなど、担任が事前に決める。
ナツキは何も言っていないといっていたが、私・ナツキ・クルミの3人は全ての班行動が同じグループだった。
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