君にかける魔法
他のグループも仲の良い子達が固まっていたので、恐らくナツキが何も言わずにきまっていたのだろう。

「彼氏くんにお土産買わなきゃね、モモ」
クルミがそう言った。
確かに。
なんだかんだ、いつもご飯奢ってもらったりバイトでもいろいろ教わっているしなぁと思った。
ニヤリの笑ったクルミの顔は、服装さえ違えばOL女上司って感じだった。


「…彼氏?」


ふと気づく。
ナツキに言ってなかったこと!

「え、ナツキ知らなかった?」
「まじ?」

「あぁ…実は……」

クルミがその後会話でなんとか場を持ち直してくれたけど、ナツキの表情がどんどん曇っていく感じがしたのは気のせいだろうか。
いくらなんでも、クルミには言ってナツキには言わなかったのは私が悪いな。
少し心が気持ち悪くなった。

それからだろう。

ナツキはあまり私とは話さなくなった。
3人でいても、私とはなかなか目を合わせてくれなくなった。








「そうか。高校生は羨ましいなぁ」
週末・青葉さんとデート。
学校や就活の合間を縫って、私のバイトの時間なども考えてよく会ってくれた。
いつも気を使わせてばかりだ。

「お土産買ってきますね」
「うん。楽しみにしてる。」

ゆったりとした時間、あっという間に時はすぎる。

「もうすぐお店閉まりますね」
「出ようか。」

長く話しすぎて気づけば閉店時間。
ショッピングモールの中のお店は閉まるのが早い。

暗くなった夜道を2人で歩く。
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