君にかける魔法
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チャイムが鳴った後。
なんて言い訳をして教室に入ろうかな。

さっき触れ合ったばかりの唇を触る。


あれはなんだったのか…

私の事、ただの友達?

あんなに求められたら私もあなたがもっと欲しくなる。

もっと近づきたいよ…


心の揺さぶりを抑え、私は教室に入る。


「先生すみません!教科書見つからなくて探してましたっ!!」

「はぁ…とりあえず席に着きなさい」

クラスメイトの笑い声が、愛おしいあの一瞬をかき消し、日常に引き戻す。


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ナツキの様子がおかしい。
ここ1週間、モモが学校に来ていない。

「ねぇ、本当にモモのこと、なにか心当たりないの?」
「な、ないよーただの体調不良でしょ?」

嘘がバレバレ。

片思い、舐めるな。

「いくらなんでもおかしいわよ。何があったか言いなさいよ。」

目線をそらす。
分かってるよ。嘘なことくらい。

「…された。」
「は?」

「き、キスされた…モモに」

白い肌が一気に赤らむ。

この2人、

「あなた達、不器用すぎるわよ。」

なんて、私が言えないか。

1年生の時からあなたに片思いをして、2年まで拗らせていたんだから。
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