君にかける魔法
今の私に出来ること。


『日曜、絶対来て。』


LIN○の返事はない。

それでも良い。


好きな人、好きな友達、

幸せになって欲しい


ーーーーー





泣きはらした目。
浮腫んだ顔。
パサパサの髪の毛。

鏡に映る自分の姿を見て、嫌気がさす。

青葉さんとのデートの日だ。

必死に冷水で腫れを少しでも抑えられるようにし、髪の毛も少しオイルをつけてまとめる。
それでも、いつにも増して不細工だった。


「ソノ!…具合悪かった?」
「そんなことないです!昨日寝すぎちゃって…ハハッ…」

まぁ、流石にバレるか。

いつも通り、楽しいデートだ。
今日はゲーセンに行ったり、おしゃれなカフェに行ったり、…楽しそうでしょう?

道をすれ違うお婆さんが『かわいいカップルねぇ』と言ってくれた。

ね、私、恵まれてるよね?


「ソノ!」
「はーい」

幸せそうでしょう?

幸せ、…でしょ?


御手洗に入る。
何故か心が落ち着いた。


スマホの通知音が鳴る。

LIN○が来てる。




……



「ソノ!!」
「ごめんなさい、理由は後で!」

外で待っていた青葉さんの前を急いで通り過ぎる。

行かなきゃ…


行かなきゃ…


進まなきゃ……!


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