君にかける魔法
翌朝。
クルミと合流して会場に向かう。

「昨日、LIN○ありがとう。」
「見てくれたなら、良かった。」

クルミは私の出る幕では無い、と言っていた。
昨日ナツキの家に行ったことは、ナツキ本人が知っているとすれば星川先生に教えてもらえばくらい。
眠っていたし、話したことは聞こえていないだろう。

「私、行っても大丈夫かな…」
「むしろ喜ぶと思うわよ」

大きい会場に到着した。
地区予選を勝ち上がると、すぐに全国大会。

「他の部活に比べたら学校数も少ないから。でも上に行けるのはひと握り」

ポニーテールをしてる集団がたくさんいる。
応援グッズを持った人たちもかなりいた。

場違い感が否めないが、クルミの後をついて行き、うちの高校の人達が固まっているところに座らせてもらう。
流石元副部長。
大会に出られない応援メンバーが周りに集まり、何かのサイン会状態みたくなっていた。

しばらくすると照明が消え、開会式が始まった。
他の運動部とはなかなかに違う雰囲気だ。
何かのアーティストのライブでも見に来たぐらいのライト。
響く英語のアナウンス。
全てが新鮮だ。


「モモ。」
「あ、そっか…良かった。」

クルミが自分のスマホ画面を私に見せる。

『ぶっ倒れてくる!』

他の部員たちと撮った自撮りだった。

「何もぶっ倒れろとは言っていないんだけど。」
「ほんと、良かった…」

ナツキが元気になったみたいだ。
安心する。

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