君にかける魔法
運命の時間が始まる。

私は目が釘付けになった。


学園祭の時よりも、素人から見てもわかるくらい何かが違う。
それは技術なのか、気持ちの面なのか、
でもとにかく目が吸い寄せられる。

会場中が手拍子に包まれる。

「Let's go、ハイ!ハイ!ーーー」

綺麗なラインダンス。

高さのあるジャンプ。


曲が終盤に差しかかる、

「ナツキーッ!」
「ナツキちゃん」
「ナツキ先輩!」

ナツキのターン。
何回回ってるの…

お願い!


「ナツキーーーっ!!!」





曲が終わる。



広い会場なのに

聞こえるのは踊り終わった選手たちの息遣いのみ。


一気に拍手に包まれる。

「藤堂先輩、泣きすぎです」
「やりましたね、みんな。」

「すごい…みんなすごいよ…」

クルミ大号泣。
本当はあの場所に立てたかもしれない。

「みんなのおかげで、ほんと報われた…良かったよ…」

退場していく選手たちに手を振りながら小声でクルミはそういった。

私も拍手で選手達を称えた。






「「お疲れー!」」
「ありがとー!」

大会が終わった。
濃いメイクを落としたナツキが私たちの元に駆け寄ってくる。

チア部は見事全国大会への出場権を手にした。
しかも地域トップ通過だそうだ。

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