君にかける魔法
「でもナツキ、中盤のターンしてからのジャンプ、少し高さが低い感じたんだけど、 」
「あぁ、それは昨日練習を…」
「あと、最後のターンの軸が、」
「待って待って!!今だけは喜びだけの感情にさせてー、ねぇモモ~」
「はいはい。」

3人で帰るなんて珍しい気もするな。
クルミのダメ出しはひたすら続いた。

クルミと別れたあと、ダメだしラッシュが嫌だったのか少しナツキはいじけていた。

「クルミがまだ副部長だったら私殺されてたー」
「あ、あんなに厳しかったんだね」

「私が部長だけど、周り見れるから裏ボスはクルミなんだよねー」
「あははは…」

なんだか想像がつかなくもない(今日の様子を見ていたら何となくわかる)。

「あと、ありがと。」
「何が?」

「私の名前叫んだの、聞こえてたよ?」

普段大声なんか出さないので恥ずかしい。
あの大音量の音楽と、歓声のなか聞こえるって、ナツキは耳が良いのかも。

「あっ、え!ナツキ…!?」

その時ナツキが急にふらつき、その場にしゃがんだ。

「やば、無理…」
「ナツキ!?」

私は修学旅行の時に入れた担任の連絡先に電話をした。
少しすると星川先生が車でやってきて、家まで送ってもらってしまった。
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