【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
……それがわからない殿下は、狡いことに
『結婚は君とするけれど』なんて、言いやがって、1学年下のミレーユ何とか伯爵令嬢と仲良くなって……
それが恋だったのか、何なのか、俺にはわからない。
いつも側に居た俺にさえ、リシャール殿下はあの、伯爵令嬢との仲がどうだったのか、未だに言わないから。


ただ、クロエ嬢が父親を通じて国王陛下に婚約解消を願い出て、慌てたリシャール殿下が謝って謝って謝り倒して。
高等部に進級しても1年以上ふたりはぎくしゃくしてて、冷却期間の後いつの間にかまた仲良くなったけれど、リシャール殿下はいつもびくびくしている。


「クロエはいつでも、俺を捨てられる」と。

因みに殿下は閨教育の実技は拒否した。
ふたりでピカピカの初夜を迎えたいから、だそうだ。
抜かせ、バカ野郎が……


今でもこの頃の事を思い出すと、腸が煮えくり返る。
貴方もそうでしょう、シャルル殿下?

あのふたりが本格的に婚約者としての交流を始めて1年ちょっと。
まだまだグラグラしていますよ、貴方も隙有らば、ですか?


俺は……もういいですけどね。

殿下と伯爵令嬢がわしゃわしゃしてた時、俺はクロエ嬢に会いに行っていた。
クロエ嬢は、何故か亡くなった妹を思い出させるひとだ。
その彼女がひとりで泣いているんじゃないか、って。

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