【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─
あたしが手を振っても見えていない感じだし、下手したらその顔を背けてしまう。
それでも、しつこく名前を呼んで追いかけたら、クロエとドミニクが立ち止まって、私の方にやって来る。

だけど、リシャールはアンドレとそのまま行ってしまうの。


「王太子殿下はビグロー嬢に、名前で呼ぶことをお許しになっておられません」

物凄く冷たい表情でドミニクが言う。
ドミニクもお気に入りだった……そんなにキツいこと言わないで?


「何か御用がお有りになるのでしょう?
 私が殿下の代わりにお聞きしても、よろしいでしょうか?」

悪役令嬢がしゃしゃり出てくんな!
リシャールに愛されてもいないくせに!

そう言いたいのに言えない。
だって、あたしはヒロインだから。
ヒロインはそんなこと、言わないもんね?


「用なんて無いです。
 久しぶりに会えたから、お話したかったんです……」

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