【改訂版】貴方は悪役令嬢ですよね? ─彼女が微笑んだら─

7【伯爵令嬢】ミレーユ

いつもあのひとを見ていました。

普段は落ち着いた物腰で感情を露にされないのに、時折弾けるような笑顔を見せられる御方でした。

私の1学年上に在席されていましたが、本当は
3つ年上らしいと、誰かが言っていて。
それでなのねと、納得致しました。
誰よりも大人びていて、お優しい御方。


その日も私は同級生の女生徒達から呼び出しを受けてしまいました。
何事も不器用でモタモタしている私は、同性から見たら『あざとい』らしくて、皆様の何かを刺激すると、何度もそう言われました。

お昼休みの音楽室です。
毎週火曜日はそこに呼び出されるのです。
手を上げられることはなく、ただただ罵られるだけ。
いつも心を無にして、言われた言葉を記憶に留めないように努めていました。

すると、その日はそこに王太子殿下がいらっしゃったのです。
殿下の両隣にはお馴染みの、ドミニク・フランソワ様とアンドレ・マルタン様が……


「火曜日の昼休みになると、ここで苛めが行われていると生徒会に投書があった」

「全員、名前とクラスを申告してから、ここから出てもいいよ」

王太子殿下に続いて、フランソワ様が楽しそうに仰せになりました。
難しいお顔の殿下とは対照的でした。
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